スパッタリング技術用語

ターゲット利用率

スパッタプロセスを用いて、量産を行う時に、大きな課題はコスト計算である。スパッタの場合には、ターゲットが膜材料として消費され、ランニングコストとして、直接的にコストに反映される。ターゲットの容積に対して、どの程度スパッタ終了時に利用したかをターゲット利用率と言い、コスト低減を考えるときに重要となる。右の図にあるように、平面型のカソードは、どうしても、使われない部分が出てしまいその分利用率が下がる。通常20~40%程度である。

スパッタコンサル

トップへ

平面型のカソードの場合には、マグネットを並行移動させたりするか、アンバランス型磁場にして、利用率を上げる工夫をしている。

左図は、円筒型をした、回転カソードである。磁石は内部に固定され冷却水に浸かっている。最外周にあるのがターゲットであり、これが回転する。そのため利用率は、80%以上となるが、ターゲット価格が高くなる。回転カソードの最大のメリットは、全面エロージョンになるので、アーキングを減らせて歩留まりアップができることである。


アーキング

反応性スパッタにて、絶縁物の成膜を行うときに、ターゲット上の非エロージョン領域に蓄積するArイオンの+電荷とカソードに加わるマイナス電荷間による短絡的な放電と考えられている。これを防止するには、電荷の蓄積を無くす必要があり、パルス電源の利用、あるいは全面エロージョンになるカソードを利用する方法がある。アーキングが生じると密着性の低下、ピンホール等の欠陥が生じ、信頼性が落ちる。

スパッタコンサル

トップへ

アーキングについては、左図のような原因が考えられている。a)は、非エロージョンに堆積した絶縁物が薄い場合に、カソードとチャージした電荷が短絡した場合。b)は、電荷がカソードと。c)は、アノード上の電荷がカソードとd)は、アノード上の電荷とカソードの側壁が放電しアーキングを生じている。(現場のスパッタリング薄膜Q&A:159p)


アノード消失

絶縁膜を反応性スパッタで成膜するときに、基板上以外にもアノード上、チャンバー壁上にも、膜が堆積する。そのために、放電しているアノード側の電極が実質的に失われて、電子の行き場所がなくなる状態を指す。この場合には、放電が継続できないために、スパッタが停止してしまう。

スパッタコンサル

トップへ

アノード消失を避けるために、カソードを工夫する方式が考えられた。a)は、アノードの上に絶縁膜が堆積してアーキングが生じる状態 b)は、後ろにヒデュンアノードと称するアノードを別途設置して、アノードを追加した方式 c)は、アノードの内側に別途アノードを追加して、保護した方式である。最近はデュアルカソード+AC電源方式でアノードレスを回避することが多い。(現場のスパッタリング薄膜Q&A:165p)


スパッタ率

Arなどの放電ガスイオンを1個衝突させたときに、ターゲット材の原子がいくつ出てくるかという比率を表している。これは、入射イオンのエネルギー、入射イオンの種類、入射角度、ターゲット材料の種類などによって変わる。

スパッタコンサル

トップへ

スパッタ率、成膜速度について、示している。金属に比べて、酸化物はスパッタ率が低い。また、特徴的には、Cは、0.2になっており、表中で最も低いスパッタ率である。(現場のスパッタリング薄膜Q&A:32p)


ロールコーター

フレキシブル基板をスパッタするときに用いるコーターであり、ロールに巻いた基板を巻き出し、巻き取るまでの間にスパッタを行う。PETやポリイミドなどのプラスチックフィルムの成膜に使われる。金属箔や最近では薄くフィルム状に成型したガラスの成膜も検討されている。

ヒラノK&E社 カタログ

スパッタコンサル

トップへ

ロールコーターの実験機の一例。フィルムは、内部に水分を保持しており、また表面にも付着している。成膜前に、通常真空中で巻き直しをし、その後プリトリートメント(ボンバード)を行って、表面からの水分子除去、クリーニング、親水化を行う。このプリトリートメントは、重要な工程である。